ぽんぽこブログ

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池袋パルコの「ブルーロック × サンリオ」の事例(2023/1/20)に学ぶ待機列形成

久しぶりに待機列の列形成に関する事例を見かけたので…
一般的な列形成に関する私の個人的考えは下記に書いています。ご参考までに。
「徹夜組対策の列形成方法について」

池袋パルコの「ブルーロック × サンリオ」の事例概要

2023年1月20日、池袋パルコで「ブルーロック × サンリオ」コラボの物販催事初日がありました。


入店方法に関して、店側は混雑を見込んでいたため入店整理券による入場規制を行うと案内していました。

具体的には、

  • 朝9時から10時30分までの間は、『P'PARCO入口前にて入店整理券をランダムで配布』。またこのとき、『入場時間はランダム』
  • 上記の時間帯は、『スタッフの指示に従って★マークの列へお並びください』。(★マーク=P'PARCO入口ドア前)
  • 11時以降は『店頭にて入店整理券を先着順で配布』。(ただし9時から10時30分の間で配布終了した場合、11時以降は配布なし。)
  • 『整理券配布は予定枚数に達し次第、終了』

とのことでした。『』内は原文ままです。


また注意事項の1つとして、

『配布時間前のお客様だけでの列形成や、深夜早朝からお並びいただくことはご遠慮ください』

とありました。



さて当日朝ですが、当然ながら9時時点、もしくはさらにその前からP'PARCO入口前は多くの人が集まっていたようです。


朝の様子としては、この方のツイートが端的です。


つまり、店側としては9時まで列を作らないという方針で、8時半の時点で整理されていない群衆が入口付近に屯していた感じかと。


そして、いざ整理券配布開始。


整理券配布の様子は、この方のツイートが端的。


つまり、列の場所として事前案内していたP'PARCO入口ドア付近ではなく、少し離れた場所で整理券を配布したとのこと。


そんな経緯があり、様々な方が報じている通り、大混乱になったようです。


何が問題だったのか

こういう事例のそもそもの原因はだいたい、「店側の見通しが甘い」というところに尽きます。つまり店側の想定を超える人が集まってしまったということです。

ただ、見通しを立てるというのはなかなか難しいものなので、店側の大変さも理解します。


整理券の配布について、入場時間をランダムにすると案内したのは評価できると思います。


「早く並べば早く店に入れる」という純粋な先着順だと、徹夜組・早朝組が発生する可能性があります。これを防ぐためにはランダム性を取り入れるしかないというのは私も思っているところです。


恐らく店側は、朝集まる人数は整理券枚数よりも少ないと考えたのかもしれません。もし実際も人数が少なかったなら、今回の策は上手くいっていたと思います。


でも実際は、整理券枚数以上の人数が集まってしまった…。難しいものです。


さて…ランダム性を取り入れる場合でも、店側にとって最も重要なのは安全であり、安全のためには秩序が必要です。


というより、列形成時にランダム性を取り入れる目的は広い意味での安全のためだと思っています*1。安全を蔑ろにしたランダム性に意味は無いと思っています


人が集まっているのにも関わらず列形成せず、そしてその状態から整理券配布を行えば、人々は配布場所目掛けて駆けます。危険です。


今回整理券配布を始めた場所が入口ドア付近ではなかったようです。『入店整理券をランダムで配布』という案内は、配布場所も含めてランダムという意味だったのでしょうか??


個人的にはそのランダム性、正直嫌いではありません。でもそういうのは参加者に案内した上で行うべきであり、また無秩序な状態となる恐れがある場面ですべきではないでしょう。


たとえ列形成時刻前に集まった人々に対してある種の罰を与えたかったとしても、です。


想定以上の人が集まった時、店側はどうすべきか?

考えられる案ですが

  • 朝9時の時点で、「列先頭が有利ではない」という旨を案内したうえで、列を形成する。列が整った時点で列形成を終了する。並んでいる人数をカウントし、入店整理券配布枚数と人数の差の分、ハズレ券をつくり、シャッフルして列先頭から配布する。


または

  • 朝9時もしくはもっと前から、整理券ではなく抽選券を配付する。抽選券を貰った人はその場から離れてよいが、複数枚受領を防ぐために配付時に手にスタンプを押すなどする。少なくとも9時過ぎまでは抽選券を配る。配り終わったら、抽選。当選した人にのみ入店整理券を配付。


または

  • 朝9時の時点で、「列先頭が有利ではない」という旨を案内したうえで、列を形成する。列が整った時点で列形成を終了する。列形成完了後、何らかの方法で列内のランダムな地点を指定し、そこを新しい列先頭ということにして、新しい列先頭から入店整理券を配る。


みたいな感じですかね?


重要なのは「早く並んだからと言って有利になるわけではない」ということをその場でも案内することだと思います。案内しないと、列へのダッシュが発生します。


ただお分かりの通り、上記のような策をとるためには、急遽新しい券を用意したりしなければならないし、もしくは列形成のスペースが必要になったりするわけです。また3つ目のいわゆるギロチン方式も、列形成場所のほか、納得感のある位置指定方式を考えたりする必要があります*2


だから店側としては結局、客の自主列を認め、列形成時刻前に列形成を終了する、さらには列形成時刻前にも関わらず整理券を配りきってしまうという形になることが多いわけです。客側から大いに非難されますが、様々なリスク*3を考えるとそれしか取れる策が無くなってしまいます*4

事前案内の注意点

上記は、人が集まってしまった後の話ですが、当然事前に「これはやばくなりそうだな…」と分かったならば、やれることも多いです。


もしも現地抽選をやるなら、少なくとも事前案内の段階で、ある程度の幅を持った設定時間帯*5の間に並んだ人については条件が平等である、と安心させるような案内が必要。その時間帯内は絶対に整理券切れや抽選券切れは起こさないという姿勢や具体策が見える案内が必要でしょう。


今回の案内を見たとき、正直「整理券切れが起こりかねないなあ…先着順になりかねないなあ…」と感じると思う。だから、9時よりもかなり早い時間から人が集まってしまう。


ランダム性を取り入れる目的は早い時間から待機する人が発生することによるリスクを除去することなのだから、事前案内の段階で「早くから来ても意味がないですよ」ということが十分に伝わるようにしないといけないですね。


『配布時間前のお客様だけでの列形成や、深夜早朝からお並びいただくことはご遠慮ください』という文言だけでは、みんな安心できないということです。


あとはもちろん、事前抽選を実施するとか。最近はシステムも整ってきたので、事前抽選が多くなってきましたね。

結局、2日目以降の入場方法は…

サンリオアニメストア側が、事前抽選を行うと発表しました。素晴らしいですね。

*1:徹夜組や早朝組に起因するリスクを排除するための策であると思っています。ランダム性を取り入れることで更に大きなリスクが生まれてしまっては意味が無い。

*2:だいたい整理番号を予め付与しておかないといけなかったりする。

*3:群衆事故のリスクや、周囲への迷惑度など

*4:これをやってしまうと、結局先着順じゃないかということになり、次回は徹夜組等が発生します。なので次回は事前案内時にちゃんと客を安心させる案内をする必要があります。

*5:たとえば9時から9時30分、など