ぽんぽこブログ

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「わたなべ(渡辺)」と「わだ(和田)」、どっちの方が出席番号が先か?

2024年のM-1の令和ロマンのネタを見て、ふと思いました。

正解は無いです

「わたなべ」と「わだ」、50音順で出席番号を決めていったとき、どちらが先か。


色々調べると、どうやら正解は無いようです(笑)。


というより、実は50音順というのは結構曖昧なんだなーということがわかりました。


50音順とひとくちに言っても、結構バリエーションがあって、「どのようなルールにするか」次第ということです。


特に関係するのが、


・文字列中の各文字の比較方法(「が」などの濁音、「ぱ」などの半濁音、「ゃ」「っ」などの小文字などをどう扱うか)
・姓と名を持つ名簿特有の話


というところです。


以下、メモしていきたいと思います。


文字の比較について(濁音・半濁音・小文字などをどう扱うか)

「50音順」という言葉は私もよく使いますが、それでは50音順とは、厳密にはどのようなルールなのでしょうか?


一番の大原則として
・文字列の文字数は見ずに、先頭の各文字から1文字ずつ比較する。(先頭の文字が同じなら、次の文字で比較。次の文字も同じなら、さらに次の文字で比較…)
ということについては、全員合意いただけると思います。


たとえば「あいうち」と「わち」という2つの文字列があったとき、『「わち」の方が文字数が少ないから、順番が先だ!』だとは、誰も言わないと思います。
「あいうち」と「わち」を比較するときは、まず「あいうち」の先頭の「あ」と、「わち」の先頭の「わ」を比較します。
この場合「あ」の方が50音順で先なので、この時点で2つの文字列の順序が決定し、「あいうち」の方が先となる訳です。


いや、本当は、『「あ」と「わ」では「あ」の方が先』というところもちゃんと合意を得ておかないといけないんですけどね。
この「1文字の比較」のルールが、「わたなべ・わだ問題」では重要になりますので。


ということで、この1文字の比較のルールについて見ていきたいと思います。


まず、
・空白(1つ前の文字で文字列が終了している)と、それ以外の文字では、空白の方が順序が先
ということは、合意いただけると思います。


例えば「さか」と「さかい」という2つの文字列の場合は、2文字目までの比較では、両者同じなので差がつきません。
3文字目の比較において、「さか」は空白(1つ前の文字で終了している)、「さかい」は「い」となります。
なので、「さか」→「さかい」という順序になるわけです。


次に、
・濁音・半濁音でもなく、小文字でもないものについては、『あ→い→…→わ→を→ん』の順である
ということも、合意いただけると思います。


じゃあ、濁音・半濁音・小文字は、どう扱う??
こここそが、「わたなべ・わだ問題」の大事なポイント!
実は流儀がいくつかあって…


パターン1: 濁音・半濁音・小文字も、元の文字(濁点・半濁点の付かない文字、もしくは大きな文字)に直した上で、比較する。つまり濁音・半濁音・小文字であることは無視する。


パターン2: 濁音・半濁音・小文字は、最初から元の文字とは別物として考えて比較する


というものに大別できると思います。


例えば「わたなべ」と「わだ」の場合…


パターン1に則ると、両者とも元の文字に直して「わたなへ」と「わた」で比較します。
こうなると、2文字目までは一緒で、3文字目の比較において「な」と「(空白)」となるので、「わだ」→「わたなべ」の順と決定するわけです。


一方パターン2に則ると、2文字目の比較において「た」と「だ」を比較することになります。
パターン2では「た」と「だ」は別物とするので、ここで順序が決まります。
一般的には、同じ文字を基にした清音(濁点・半濁点の付かない文字)と濁音・半濁音では、清音の方が先になるということは、合意いただけると思います。*1
なので、この場合「わたなべ」→「わだ」の順に決定します。



なお、パターン1の場合の順序決定において濁音・半濁音・小文字であることが完全に無視されるかというと、そんなことはなくて…
例えば「やまさき」と「やまざき」を比較する場合、濁音を無視すると両者とも「やまさき」となり、差がつきません。
濁音・半濁音・小文字を無視して2文字列を比較したときに差が無い場合に、ようやく、今度は先頭の文字から濁音等を考慮して比較するわけです。



国語辞典の多くは、パターン1で掲載順を決めていると思います。
一方、学校の名簿順については、パターン2を選択する教師もいるかもしれないですね!


姓と名を持つ名簿特有の話


ここまで「わたなべ」と「わだ」みたいに、姓のみに着目してきましたが…
名簿には、姓だけでなく名も書かれています!


ここで重要なのが、


パターンA: まず姓のみに着目して順序を決める。姓が同じなら、名まで参照して順序を決定する。


パターンB: 最初から姓+名を1つの文字列として、順序を決定する


のどちらのルールを選択するかです。


たとえば「わだ なみ」さんと「わたなべ あい」さんがいたとします。
また、先述のパターン1・2においては1を採用しているとします(つまり「あじ」→「あしか」となるルール)。


パターンAの場合は、まず姓のみで比較します。
「わだ」と「わたなべ」なら、「わだ」が先です。
よって、「わだ なみ」→「わたなべ あい」という順序に決定します。


一方パターンBの場合、姓+名を1つの文字列にして比較するので、
「わだなみ」と「わたなべあい」を比較することになります。
濁音・半濁音は無視して比較するので、4文字目の「み」と「へ」を比較して、「へ」の方が順序が先となります。
よって、「わたなべ あい」→「わだ なみ」という順序となります。


結論

「わたなべ」と「わだ」、どっちが先かは、そのときのルール次第!


余談1: 衆議院参議院のWebページではどうなっている?


まあ、なんというか、正解は無いんですけど、権威にすがりたくなるんですよねー。


ということで、例えば衆議院のWebページに掲載されている、衆議院議員の50音順名簿はどうなっているか。*2
見たところ、「わだ ゆういちろう」→「わたなべ しゅう」の順なので、パターン1(最初は濁音を無視して比較)、かつパターンA(最初は姓のみに着目して比較)のようです。


一方、参議院の方は??*3
やばいでしょこれ…ルールがわっかんねえ。(2024/12/23時点の話)
だっていきなり「あだち」→「あおき」だもん。


恐らく、読み仮名を漢字1字ごとに分割して、漢字1字ごとに比較しているのかも。
「あだち」と「あおき」なら、「あ」と「あお」で、「あだち」が先。みたいな。わかんないけど。
こういう並べ方のルールがあるのは良いと思うけど、果たして50音順と呼んでいいのだろうか?(笑)


余談2: 国語辞典で「りゆう(理由)」と「りゅう(竜)」はどっちが先?


「りゆう(理由)」と「りゅう(竜)」、国語辞典においてどちらが先に載っているのか。
これはつまり、1文字の比較において、大文字と小文字のどっちが先なのか、という問題。


私はてっきり、小学校時代の知識で止まっているので、「りゆう」(大文字)の方が先だと思っていました。


しかし!!実は!!!大人向けの辞書については「りゅう(竜)」の方が先となっていることが多かったりするのです!!!


知ったかぶりでものを語っちゃいけないですね…


余談3: JIS上の日本語文字列照合順番


日本語の照合・整列の順序については、実はJIS上に規格が存在します(JIS X 4061)。
この中の「単純照合」や「読み・表記照合」は、50音順と呼ばれるものに対応するようです。
詳しくはJISを見てみてください。


ただし、どんな場面でもJISを当てはめるのが正解ってわけではないです。あくまでJISではこうなっているというだけ。
(でも、規格化は大事。)

*1:「た」と「だ」なら「た」が先になるという意味であり、濁音「だ」と清音「へ」の比較の場合は、濁音であっても「だ」が先になるというのが一般的かと思います。

*2:議員一覧

*3:議員一覧(50音順):参議院